未来を模索するチャンスを子供たちに。

今日は午後から来客があった。本州の少年院の教官。とても熱心な方で、子供の未来を真剣に考えていらっしゃる方だった。朝6時の飛行機に乗って、わざわざ北海道まで来るのである。

北星余市には少年院を出院して入学する子供たちが少なくない数いる。その先生たちの少年院から、昨年度のこの入試の時期に北星余市を希望した者が一人、今年度中に入学した者が一人、そしてこの春も受験をする者が一人いる。それで、実際にこの目で確かめたいと少年院に申出てお越しになられたとのこと。申出る先生も、それを認める少年院も本当に素敵だと思う。

子供たちがどんな場所でどのように育っているのかをこの眼で確かめたいという思いに胸を打たれる。そういう思いを持って子供たちを見ている少年院の先生たちは、私の周りに多い。どこか別で書こうと思うけど、少年院に対する理解も、少年院を経験した子供たちに対する見方も、世間には本当に多くの思い込みがたくさんある。

少年院を出院した後の子供たちに与えられる機会は数少ない。高校生活を送りたいと思っても送れない子供が多い。受け入れてくれる先がない。今日おこしになられた先生もおっしゃっていた。

「中学生で少年院に入り、出院して高校を受験しようとしたとき、必ず長期欠席の理由を聞かれる。そうすると中学校も嘘はつけないから、「少年院に入っていました」と答えざるを得ない。すると、高校はだいたい不合格にしてくる。「リスクが高すぎますから」って。」

定時制もそういう傾向が強いといっていた。通信制の高校は受け入れてくれるところもあるけれど、続かないことも多い。だから、院内で高等学校卒業程度認定試験を受験し、資格を取得し、出院時には就職できるよう準備しているケースが多かったりする。

わからんでもない。わからんでもないが、そういう子供らに対して世知辛いなぁ、、、と思う。

尾崎豊の「15の夜」は意外と正確な数字で、統計上非行が最も多いのは15歳。犯罪白書を見ればわかる。15歳でそれだけ生きる選択肢を絞られてしまうのはいかがなものか。

「少年院を経験している子供」というブランド力が高すぎる。少年院を経験している子供の中にも、確かにそれを屁とも思っていない子、俺をこんなところにぶち込みやがって…と思っている子も確かにいる。しかし、真っ当に生きていきたいと思っている子供が多くいるのである。人を見ずして、何を見ているのか…と思う。

人には未来がある。その未来にかける機会を与えられるべきだ。経験の浅い子供たちにはなおさらである。

「今から頑張りたい!」そう思った10代後半の子供たちが、朝起きて、学校に通い、友達をつくり、勉強をし、様々な経験をし、思い出をつくり…我々が当たり前に過ごして来た時間、二度と手に入れることのできない一生に一度の時間を与えられる学校として、北星余市は存在していきたいと改めて考えさせていただいた出会いだった。

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北星学園余市高等学校で教員をしています。
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