Archive for 12月 2010

「街場の現代思想/内田樹」を読む

「お金について」「転職について」「結婚という終わりなき不快について」「他者としての配偶者について」「学歴について」「想像力と倫理について」といった十五のお題に対する、人生相談の皮をかぶった、現代思想の講義である。
フリーターとかバレンタインのチョコとか学歴詐称とか、表層的には私たちがよく知っている「現代」の事象を扱っているけれども、そこで語られている内容は、(ほぼ)いつでも、どこでも、誰にでも適用できる、普遍性の高い知見なのだ。


(街場の現代思想/内田樹・著、257p 解説:橋本麻里)


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「子どもは判ってくれない」を読む


この本に一貫して伏流しているのは、世の中がこれからどうなるのかの予測が立たないときには、何が「正しい」のかを言うことができない、という「不能の覚知」である。

その「不能」を認識したうえで、ものごとを単純化しすぎるきらいのある風潮にあらがって、「世の中というのはもう少し複雑な作りになっているのではないか」ということをうじうじと申し上げたのである。

「快刀乱麻を断つ」というのがこういうエッセイ本の真骨頂であり、読者諸氏もそのような爽快感を求めておられることは熟知しているのであるが、残念ながら本書はそのような快楽を提供することができない。筆者はああでもないこうでもないと言を左右にし、容易に断言をせず、他人を批判する時も自分は逃げ支度をしており、本書をいくら読んでもそれで世の中の風景が判明になるということは期待できないのである。すまないが。

しかし、言い訳をさせていただくと、昨今の時評類はあまりに話を簡単にしすぎてはいないか。

世界情勢は複雑にして怪奇であり、歴史はうねうねと蛇行し、私たちの日本社会も先行きどうなるのか少しも見えない。そういうときには、それらの事象のうちとりわけ奇にして通じ難いところを「分からない、分からない」と苦渋の汗をにじませながら記述することもまた、面倒な細部をはしょって無理やり話の筋道を通してしまう作業と同じく必要な仕事ではないか、と私には思われるのである。

それゆえ、この本からのメッセージは要言すれば次の二つの命題に帰しうるであろう。

一つは、「話を複雑なままにしておく方が、話を簡単にするより『話が早い』(ことがある)」。

いま一つは、「何かが『分かった』と誤認することによってもたらされる災禍は、何かが『分からない』と正直に申告することによってもたらされる災禍より有害である(ことが多い)」。

これである。

(子どもは判ってくれない/内田樹・著、251p-253p)

「自分らしく」あるのは当然か、74p-81p
身体を丁寧に扱えない人に敬意は払われない、107p-111p
幻想と真実は交換できない、111p-121p
話を複雑にすることの効用、124p-132p
呪いのコミュニケーション、133p-142p
友達であり続ける秘訣、146p-151p
すべての家族は機能不全、151p-154p
ヨイショと雅量、154p-159p
風通しの良い国交とは、228p-233p
ネオコンと愛国心、233p246p


子どもは判ってくれない
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【イベント情報】シンポジウム「非行少年」に、もっと弁護士を!


日時:2011年1月29日(土)13:30~17:00
会場:日本教育会館一ツ橋ホール(千代田区一ツ橋2-6-2)
内容(予定):演劇 東京弁護士会「もがれた翼特別講演『扉を開いて』」
       基調報告 全面的国選付添人制度の実現の必要性
       リレートーク 少年法研究者、少年審判の経験者、家裁調査官等
参加費:無料
主催:日本弁護士連合会
問合せ先:03-3580-9502
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【イベント情報】少年院からの社会復帰と、当事者支援の可能性


日時:2011年1月15日(土)、16日(日)
会場:立教大学池袋キャンパス14号館(豊島区西池袋3-34-1)
講演:シャッド・マルナさん(クイーンズ大学ベルファスト校教授)…15日の基調講演
   クリスター・カールソンさん(スウェーデン:KRIS理事長)…16日の基調講演
ゲスト:川嵜竜希さん(元暴力団員で元プロボクサー)…15日のメインセッション
    「当事者が語ることの意味:自分の当事者から社会の当事者へ」
主催:NPO法人セカンドチャンス!
申し込み要:1月10日まで
メール:second.chance.event2011@gmail.com

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【イベント情報】発達障害と少年非行を考える


発達障害と少年非行を考える
講師:藤川洋子(京都ノートルダム女子大学教授・元家庭裁判所調査官、臨床心理士)
日時:2011年1月22日(土)13:30~17:00
会場:日本教育会館・中会議室(千代田区一ツ橋2-6-2)
※他に体験報告があります
参加費:800円
主催:NPO非行克服支援センター
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東京、「東京シューレ」「雨あがりの会」「フリースペースコスモ」「不登校支援協会」さんを訪問。


今日も盛りだくさんな出会いでした。東京シューレさんとフリースペースコスモさんは、私個人的に2回目の訪問。東京シューレでは、中村さんと精神医療が現在の教育の現場に及ぼしている影響や不登校生の安易な進路選択について盛り上がる。フリースペースコスモさんでは、その子どもたちの居場所がとても明るく生き生きしているのを感じながら、四万十川を歩く冒険旅行の活動や、ベトナムツアーなどの話を聞きながら、スタッフの馬場さんと交流しました。


雨あがりの会さんは、「非行」と向き合う親たちの会で、代表は「ブリキの勲章」で知られる能重真作先生。つい先日も北星余市高校のPTAの会「山親爺(オヤジ)の会」の例会に来ていただいてお話をいただいたり、毎年行われる全国大会に本校教員が参加するなど、ここ数年さまざまな形で交流を持たせていただいています。

ブリキの勲章―非行をのりこえた45人の中学生と教師の記録 (1979年)/能重 真作

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「不登校支援協会」さんとは、こちらの時間の都合上、短い時間でしかお会いできなかったのですが、こちらも毎年国分寺で開かれている不登校生のための進路相談会に参加させていただいていて、そういった会以外の機会にお会いするのが初めてでしたので、有意義な時間でした。今度はゆっくりお奈々氏がしたいと思いました。


今日の雑感です。

今日は山梨県と千葉県を訪問。親たちの会「ぶどうの会」や「ひだまり」さんなどを訪れました。


昨日の夜、訪問を終わってから山梨に飛びました。途中首都高の渋滞にはまりながら3時間の移動。ナビでは2時間で作っていってたのに…。


山梨県ではスキルアップスクールさんや中央市福祉課の方、不登校の子どもを持つ親の会「ぶどうの会」さんにお会いしてきました。


スキルアップスクールさんでは、パソコン操作の技術習得を通じて障害者の就労移行支援を行っている施設です。「単純にパソコンの技術を身につけて就労に導くだけでは意味がないと思っています。あいさつ、コミュニケーションのとりかた、そういったことを学ぶことが何よりも大事」と担当された方がおっしゃってました。大切な考え方だと思います。


その後「ぶどうの会」を訪問。鈴木正洋さん、はつみさんご夫妻にお会いし、お昼ごはんまでごちそうになりました。1時間半もおじゃまし、教育談義。子どもたちにとって本当に必要な「学び」とは何か、不登校に陥った子どもにとって必要な経験は何か、そんなことを話しながら意気投合。本当に素敵な出会いでした。鈴木さん一家が経験したことをもとに出版された本、「不登校だったボクと島の物語」を買わせていただきました。ほ!鳩間島!!ふむふむ!!


不登校だったボクと島の物語/鈴木 正輝

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その後、千葉県に飛び、「ひだまり」さんを訪問。情報交換をさせていただきながら、「先日、北星余市の親御さんがここの進路相談会でお話ししてくださったんです」とのこと。「熱心な親御さんで…」とおっしゃってくださいました。


これを機にみなさんといろいろ関わりを持てたら嬉しいと思う出会いばかりでした。


エルムアカデミーさんを訪問しました。


昨日から関東のいつもお世話になっている方々の所を回っていますが、今日は品川区にありますエルムアカデミーさんを訪問。生徒が3名きていて、みんな元気に頑張っているのでご報告に。


もともとこちらは1984年に学習塾としてスタート。この間、日本の知識詰め込み型競争教育とは一線を画した教育実践をされている塾です。


「私たちは、ただ知識を詰め込むだけで、子どもが“育つ”とは考えません。“学ぶ”ということの意味をともに考え、悩み、“いかに生きるか”を子どもたちとつむぎだしていきます。そうしてはじめて子どもたちのなかで“学ぶ”ということと“育つ”ということがしっかりと結びつくのだと考えます。」(エルムアカデミーホームページより


ふーむ。


1時間ほどお時間をいただいて、教育談義。東京都の不登校教育事情に関するお話も頂きました。私が訪問させていただいたのは2回目。そのときも個人的に感じたのですが、北星余市との考え方に近いものを感じます。夏には1週間の合宿をされるとか。毎年8月頭に自由の森学園さんの校舎をお借りして行われているみたいです。先生と生徒でつくり上げる合宿。今度訪問させていただくときには、ぜひ私も一泊体験してみたいです。


エルムアカデミー

来週は関東での生活


今日から関東での生活が1週間。ホテル暮らしは疲れるんだよなぁ。


明日は栃木県で教育相談会、そして明後日は埼玉で同じく相談会。その後、月曜から金曜まで、埼玉・東京・山梨・栃木・茨城を訪問する。良い出会いがあることを願って。

気がついたら、こんなところまで来ていた件


なんか、気がついたらこんなところにいる。自分はこれからどこにいくのだろう…と考えても仕方のないことなんぞを考え込む。


聖書には預言者ヨナの話がある。そういうものなのか。私にはわからないが、与えられたことはせねばなるまい。

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北星学園余市高等学校で教員をしています。
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