Archive for 11月 2009

【ある共通認識のもとにひとつの曲を織り成す】
JAZZ --- そして教育との共通点


Photo by ~MVI~

今日は久々に空いた時間が30分ほどできたので、いつも北星余市を応援してくださるコミュニティレストラン・B&B「余市テラス」さんを久しぶりに訪問させていただいて、ちょっとJAZZのお話。
 私自身、JAZZというジャンルの曲はあまり聞かないのですが、YouTubeのスライドショーを作成するにあたってJAZZの曲を使わせてもらうことをきっかけに、ちょっと興味があったので。曲を選ぶ際に、何曲か聞いて選ぶわけですが、一口にJAZZといってもいろんな雰囲気があるわけですね。私がいつもパンフレット作成等でお世話になっているブリューさんは、それを「匂い」といっているのをふと思い出しました。


余市テラスさんには、JAZZのCDがたくさん並んでいる。ふと聞いてみました。


「JAZZって、その中にもジャンルがあるんですか?ROCKでいう、HARD ROCKやHEAVY METALがあるように…」



とお聞きすると、

「分ければあるが、基本的にはなんでもありなのがJAZZ。基本となる拍子などをもとに、あとは演奏するなかで、そのプレイヤーの一致するところでひとつの曲を織り成す。即興も多く、それがJAZZの魅力。即興なんかは特に、こうしよう!という細かい打ち合わせもなく、基本的なことだけを決めて、あとはその場で素敵な曲を奏でる。その分、いろんな雰囲気もでるし、奥が深いんですよ」というような趣旨のお答えが。

なんだかわかりませんが、北星余市で日々実践されている教育の「雰囲気」をそのJAZZの中にふと感じた瞬間でした。

基本的な教育理念、生徒観、指導の方向性などをもって、目の前にある出来事に、個々の教員の持ち味や経験に基づく感、その場の判断で指導に当たる場面が目に浮かびました。毎日のように学年部会を開いたり、生徒指導の前に打ち合わせなどをすることは基本であったとしても、結局、まさに目の前にあるそのときに個々の教員がどう動き、どう連携して指導を行うかの繰り返しが、教育活動の根っこにあるような気がしたのです。そのときにあるのは、なんていうか、、、打ち合わせの詳細よりも、パートナーの雰囲気といいましょうか、ひととなりと言いましょうか。この人ならこう出るだろうから、自分はこういう路線で話をしてみようとか。
ふーむ、そう考えると、自分たちのしていることは、JAZZちっくなのかもしれない?なんて・・・そんな風に考えた30分でした。

【PTA、PTAOBが集まってくれました】
茨城、群馬、静岡の教育相談会にいってきました。

11月21日(土)から23日(月)にかけて、本校の講演会・教育相談会に行ってきました。前日の20日(金)に茨城いりして、在校生の親御さんの家に宿泊。ホテルを予約していた私ですが、「先生、泊って!」の声に、何やら楽しそう…と誘われて。その日は関東近辺の親御さんが10名弱集まって、深夜3時くらいまでお話を。とても楽しい一夜でした。

3日間の講演会・教育相談会には、昨年の春に卒業させた私のクラスの生徒が長野から群馬に、愛知から静岡に2名かけつけてくれ、なんだか嬉しいプレゼントも貰った気分でした。

と、何をしに行ったんだ…って思われるかもしれませんが、北星余市高校の良さや現在の不登校生への高校教育の危うさをお話しさせてもらって、北星余市を分かってもらうことが目的です。参加された方には、北星余市という高校が何を大切にして教育をしているかをよく理解していただけた…という感覚があります。


この講演会・教育相談会の素晴らしさは、何より現役PTAやPTAOBの方が中心になって企画してくださっていること。当日に向けて、この講演会と相談会を皆さんに知っていただきたいと各方面に働きかけてくださる。そして、当日の会場にはたくさんの父母が集まってくださり、準備をしてくださる。中には、東京から静岡の会場まで来てくださる方、東京から茨城まで来てくださる方、、、それも手弁当で。そうして、応援してくださるPTA、PTAOBの方に、感謝感謝です。

茨城、群馬、静岡でお世話になった父さん、母さん、とても楽しい時間と元気をいただきました。本当にありがとうございました!

【いじめはあるものと思った方がいい】
アンテナ高く、小さいうちに。


Photo by lenifuzhead

文部科学省がとった統計、平成19年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」について(平成20年11月20日)http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/11/08111707/002.dfによると、平成19年度間のいじめの認知件数は約10万1千件だそうです。

 ちなみに、教員という立場の人間がこういうのもなんですが、、、実際のところはもっと多いと思います。そういうものだからです。我々の世界からは見えない、子供だけの世界になっている部分は間違いなくあると思うんです。


いじめの内容を見てみると、
「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、いやなことを言われる 65019件」
「仲間はずれ、集団による無視をされる 22904件」
「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする 18877件」
というのが上位3位。

これらの事柄は境界線が難しく、本人は嫌な思いをしながらも我慢している例というのは山ほどあります。そう考えると、もっと多いはずなんです。我々の世界からは見えない、子供だけの世界。かくいう私も、この上位3位の中の事柄は小学生・中学生の時代に経験したことがあります。

この上位3位の内容は、いじめの「導入」。この導入で不登校になる子供もいれば、それ以降、いじめがエスカレートしていくことも多々あります。

別の資料、こちらは平成20年度の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」についてを見ると、不登校となったきっかけと考えられる状況をみると、いじめが3685人、いじめを除く友人関係をめぐる問題が23439人。これは不登校となったきっかけと考えられる状況のうち、実に20%を超えます。NPO法人やフリースクールなどが主催する、不登校のつどいのようなところでは、「子供が不登校を訴えたら、無理に行かせることはない」という対応をよく聞くが、これはこの側面から見ても、正解といえるかもしれないなぁ…と思います。誰にも言い出せず、誰も見いだせず、本人が耐えてしまったがゆえに、いじめがエスカレートする場合も多いからです。

いじめをなくそうという運動はとても大切なものです。ただ、私はいじめはなくならないとも思うんです。いじめの存在を責められることを恐れて「ない」または「これはいじめじゃない」と語るより、アンテナを高くはり、小さな事柄に対しても目を配るような体制を取りたいなぁ…と常日頃思っています。

【いいなぁと思う本】
発酵道―酒蔵の微生物が教えてくれた人間の生き方

寺田 啓佐 (著)
単行本: 255ページ
出版社: スタジオK (2007/08)
発売日: 2007/08




発酵と腐敗の違い?ふーむ、なるほど。人生もできれば腐敗させるのではなく、発酵させたいですよね。生き方、勉強になります。



発酵道―酒蔵の微生物が教えてくれた人間の生き方

【みなさん、ありがとうございました】
道央圏の中学校を訪問させてもらいました!

今週1週間、再び中学校訪問に行ってまいりました。今週は岩見沢から滝川、富良野、旭川方面の中学校さんを訪問させていただきました。地方を複数回るため、アポイントととってから回れないのがいつも申し訳なく思うのですが、突然の訪問にもかかわらず、ほとんどの中学校さんがいやな顔ひとつせず迎えていただいて、本当にありがたく思いました。


<2009.11.11(Wed)富良野の朝:目覚めると雪でびっくり!>

北星余市高校がどういう教育を展開しているのか、何を子供たちに育ててあげたいと考えているのか。そういうことをひたすら語る私に、みなさん耳を傾けていただき、考えを巡らせていただいている様子で、その反応がまたうれしくもありました。

そして、今回もまたうれしかったのが、北星余市に送り出してくれた先生のもとを訪問したとき。どの先生たちも、その子供ががんばっているのか気になってらしたようで、「がんばっています」という報告に笑みを浮かべてらしたのが、僕の元気にもなりました。

本当にありがとうございました。

【いいなぁと思う本】
みんながおしえてくれました

五味 太郎 (著)
出版社: 絵本館 (1983/01)
発売日: 1983/01





僕自身、本当にいろんな人に支えられてここまでこれたな、、、って思っていますが、そんな当たり前のことを書いている絵本です。なんもひねってません、本当にシンプルにそれだけ書いてある本。そこからどうするかは、あなたの自由。


みんながおしえてくれました

【不登校になった子供を抱える親御さんの迷い】
その思いを語ってください。


Photo by quinn.anya

昨日、一昨日と本校の講演会・教育相談会に出張してきました。場所は函館と室蘭。北星余市では、毎年、全国40か所以上で講演会と教育相談会を開催しており、本校を受験するしないにかかわらず、たくさんの方に参加いただき、不登校生・高校中退生に関わる講演を行い、その後希望者の方には個別相談に応じております。

不登校になった子供を心配し、どのようにしたらよいものかと迷われている親御さんが来場されます。お話を聞く中で、普段抱えてらっしゃる苦しみをたくさん感じます。子供が不登校になるということは恥ずかしいことではない、特別なことではなくいまやクラスに一人いるのが当たり前になってきていますが、とはいえ、誰にでも相談できることではないですし、一人で抱えるには重すぎることだとも思います。

そういう方こそ、まさにお越しいただいて、何かのヒントにしてもらえれば…と思う僕なのでした。

【内省時間のたまものか】
不登校経験者の獲得したもの


Photo by qthomasbower

今日、ふと、ネットで記事を見ていて思ったこと。

http://mainichi.jp/area/nara/news/20091028ddlk29100552000c.html

こちらの記事によると、不登校生を支援するASUというところで、文化祭と称して芸術作品の展示を行っているという。どのような作品かは見ていないので何とも言えないが、私の経験からいってもきっと素晴らしい作品がたくさん並んでいるのではないかと思う。

これは経験上の話だが、不登校を経験した子供というのは、自己表現の力に長けていることが多い。たとえば、本をたくさん読んでいる子供はそれが文才となってあらわれてきたりする。書道や絵画、写真などといった芸術の場面でもすばらしい作品をよく作る。

それはきっと、不登校を経験している際に、自分に向き合う時間や悩み・葛藤に向き合う時間が長く、その熟成されたものがその子供の中にたまっている結果なのだと思う。人というものに対する見方、世の中に対する見方、自己嫌悪、願望、期待、裏切り、、、その様々な経験と様々感情や考え、そしてそれを昇華させるだけの生きる力を得て、素敵な表現ができるようになるのだろう。

僕の高校には不登校経験をして、「やりなおそう」とある一定乗り越えた形で、入学してくる子供たちがたくさんいるが、そういう子供が多い。現状不登校の子供はほとんどいないのだが、そういう子供たちを見ていると、経験した不登校は不幸であったとしても、不登校時代にしっかりと支えてくれる人がいて、自分を見つめることができて、それがいまこうして力となってあらわれているんだな、、、、と思うと、それはそれで生き方として、うまく辛いことを活かせているのだと感じたりもする。

そう考えると、現状不登校の子供たちを支える大人は、本当に重要な役割を担っているのだと尊敬の念をいだく。みなさん、がんばってください。

【人生最後の修学旅行】
自分たちで作り上げる旅行の醍醐味

土曜日から沖縄に出発する2年生。放課後、20時ごろに職員室で何やら作業をやっていました。




2週間くらい前から実行委員会を開いて、門限などの規律や楽しい企画の話し合い、点呼の方法から、一生に一度の高校の修学旅行を楽しいものに仕上げたいという気持ちで話し合ってきていました。

教師も当然混ざっての実行委員会ですが、最低学校として、または高校生として守らねばならないラインは示しますが、基本的にはすべて生徒が決める。僕の経験上、今まで先輩たちがどういう風に修学旅行を成功させて、そのためには何をやってきたか…から話が始まります。そうして、1から手作り感のある修学旅行が、自分たちの旅行として思い出に残るのだと思います。

楽しんでいってきてね。

【余市高校との合同ライブ企画】
今後の活動が楽しみです!

先日書いた軽音部の合同ライブの企画。その後、なんと驚くことに、道立余市高校の先生も同じようなことを考えてらっしゃったようで、予期せぬ形で余市高校の先生からオファーがあってびっくりしました。余市高校の先生は、ピアサポーターと連携して、AIDSに対する正しい認識を持ってもらうことを目的にして、合同ライブやその間にAIDSの啓もう活動をしたいという企画をもってきてくれました。ただ合同ライブするよりも、そういう意図を含んだ企画もいいですね。ということで、GOサイン。

今日は、その第1回実行委員会が余市高校で行われました。余市高校のメンバーと顔合わせをして、大枠の話し合い。今後の活動が楽しみです。

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北星学園余市高等学校で教員をしています。
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