【私の書棚より】
下流志向〈学ばない子どもたち 働かない若者たち〉

内田 樹 (著)
文庫: 280ページ
出版社: 講談社 (2009/7/15)
発売日: 2009/7/15


 
『下流志向』というと「格差社会の話か?」と思うのですが、〈学ばない子どもたち 働かない若者たち〉 というサブタイトルが中身です。
 
学ぶということはどういうことか。内田先生の深い洞察は、長年違和感を感じながらも閉じていた僕の眼を開いてくださいました。
 
『起源的な意味での学びというのは、自分が何を学んでいるのかを知らず、それが何の価値や意味や有用性をもつものであるかも言えないというところから始まるものなのです。というよりむしろ、自分が何を学んでいるのか知らず、その価値や意味や有用性を言えないという当の事実こそが学びを動機づけているのです』
 
 
「先生、これは何のために学ぶんですか?」「なんのために、こんなことしなきゃいけないんだよ」そういう風に言われた経験のあるお父さん、お母さん、そして僕の仲間である先生たちには、ぜひぜひ読んでほしい本です。そうでない人にも是非。
 
自由、そして自己決定と自己責任。「格差」の正体ってなんなのか。勉強になった一冊です。

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北星学園余市高等学校で教員をしています。
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