最後の全国のつどいin北海道の実行委員会。

今日は2013年8月に行われた登校拒否・不登校問題全国のつどいin北海道(http://zenkokunotudoi2013.jimdo.com)の最後の実行委員会だった。昨年の12月からほぼ毎月のように帯広に日帰りで通った。実行委員会といっても実際はほとんど準備はしていない。実行委員会は、現地で事務局をされていた不登校登校拒否と向き合う親の会・はるにれの会皆さんを中心に、帯広地域の皆さんが準備してきたものに対して、全国から集まる皆さんにとってそれが良い物となるかどうか、意見を出し合う時間がメインだった。事務局の皆さんにとっては、さぞかし大変な1年だったと思う。北星余市からは10名の教員が当日参加して、世話人という形でお手伝いをした。各分科会の司会や書記、連絡係などを担当し、全国から集まる方、不登校で悩んでいる方、そういった方たちを支援されている方達と有意義な時間を過ごさせてもらった。

深夜1時過ぎても事務局の皆さんが本部で笑いながら今日を振り返り、明日のためにニュースを書いていたことが、今でも思い出される。何かを決めるわけではない「つどい」。つどって、思い思いの時を過ごす。それは心地よい時間だった。


今日はそのつどいの最後の実行委員会。まぁ、企画をたくさんの人で運営するということは、それぞれの思い、まして全国で思いの集まっている人達ばかりだから、その強さもあって、そして文化もあって、それぞれ思ったことはあっただろう。けど、本当にいい集まりだったんじゃないかって思う。

今までは実行委員会が日曜日に開かれ、翌月曜日は学校があったので日帰りして懇親会に出席しなかったが、今回は最後ということで懇親会に参加させてもらった。実行委員会に参加したり、世話人をしていたとはいえ、こういう懇親会のような場で話すのとはまた違う。もう少し、近い距離で話すことができる懇親会は楽しい。

その中でとある方からありがたい言葉をいただいた。「私も色々あったけど、北星余市はやっぱり、ちょっと違う学校だって思った。不登校で悩んで苦しんでいるまっただ中の親の気持ちを理解しようとしてくれている『学校』はそうそうない。というか、他には見たことがない。唯一つながることができる学校だと思った」と。

北星余市はこれまで29年間、不登校や非行、高校中退で苦しい経験をしてきた子供たちを受け入れて来た。その多くの子供や保護者から、北星余市につながる前は、人生の道を外れ出口のない暗闇をさまよい続けているようなものだったと聞く。

安定した給料と職に就くこと、欲しい物を不自由無く買い求めることができる生活が幸せな生活で、そういう生活を送る者が成功者とされる価値観。そのためにお勉強をし、テストの点数をとり、部活に精を出し、いい高校に入り、いい大学に入ること、そういう価値観を一般的に植え付けられている人達が多い。そういう価値観を持っている人達からすると、不登校や非行というものは人生の道をはずれ、しかもそれは戻ることのできない失敗であるととらえるのもわかる。私も北星余市で教員を務めなければそう思い続けていただろう。

しかし、北星余市の生徒たち、卒業生たちを見ていて、不登校や非行、それ自体はなんの問題もないことだということがわかった。そういう経験をしている人達が、そのままの流れの中で、自分を否定し、世の中に受け入れられないままにいることで苦しい生を送っている傾向があることはある。しかし、それはそういう経験をした後に、適切な考え方ができなかっただけのことであって、不登校や非行をしたから人生が終わったわけではない。大丈夫、人生終わったわけではない。闇でもがいている苦しみを感じているかもしれないが、希望は必ずある。

長崎、奈良と過去2年間、このつどいに参加して来た。自らの土地、北海道で開催されるにあたって、僕はそういうことを、今不登校や非行で悩んでいる子供、それを支える家族の方たちに少しでも感じてほしいと思った。このつどいには沢山悩みを抱えてくる方もいるが、一方でそういった価値観を口で説教するとかそんなのではなく、出会い、語り合い、笑顔でふれあうことで、悩みを抱えている方達が、自然とそういうことを心と身体で感じて帰って行かれることの素晴らしさを感じていた。だから、そういう場で自分たち北星余市ができることはないか…ということを考えていた。

僕のそういう思いを、誰がどう感じてくれたかはわからない。けれど、飲み会も終盤、最後に酔っぱらった、半ばべらんめぇ口調で、温かい言葉を私に投げかけてくれたことで、僕のその思いを感じてくれていた人がいたのだと知った。その言葉が僕が心をとても温めてくれた。僕もまた元気と勇気をもらった、そんな素敵なつどいだった。

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北星学園余市高等学校で教員をしています。
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