法の溝、制度の溝、人の溝。

親権。

民法第820条には
「親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。」
とある。

けれど、子の利益のために子の監護及び教育をしていない人がいる。中には子の利益どころか、親の利益のためにしている人もいる。そういう人が親権を持ち、子供を手放さないことで、その子供がかごの中の鳥になっている例が世の中にある。

民法第834条には、
「父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができる。」
とある。けど、だれが後見するのかということも問題になって来る。「親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害する」ことを証明することも難しいし、できても相当の時間がかかる。

狭い世界しか知らない僕でも、2人もの子供の例がある。世の中にはもっとたくさんのそういう子供がいる。とても心苦しい生を送っているのだろうなと思う。

でも、笑顔だったんだよな、あの子。緊張が体に表れていたけれど、笑顔だった。

なんとかならないものかな。

Profile

北星学園余市高等学校で教員をしています。
Instagram