【いじめはあるものと思った方がいい】
アンテナ高く、小さいうちに。


Photo by lenifuzhead

文部科学省がとった統計、平成19年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」について(平成20年11月20日)http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/11/08111707/002.dfによると、平成19年度間のいじめの認知件数は約10万1千件だそうです。

 ちなみに、教員という立場の人間がこういうのもなんですが、、、実際のところはもっと多いと思います。そういうものだからです。我々の世界からは見えない、子供だけの世界になっている部分は間違いなくあると思うんです。


いじめの内容を見てみると、
「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、いやなことを言われる 65019件」
「仲間はずれ、集団による無視をされる 22904件」
「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする 18877件」
というのが上位3位。

これらの事柄は境界線が難しく、本人は嫌な思いをしながらも我慢している例というのは山ほどあります。そう考えると、もっと多いはずなんです。我々の世界からは見えない、子供だけの世界。かくいう私も、この上位3位の中の事柄は小学生・中学生の時代に経験したことがあります。

この上位3位の内容は、いじめの「導入」。この導入で不登校になる子供もいれば、それ以降、いじめがエスカレートしていくことも多々あります。

別の資料、こちらは平成20年度の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」についてを見ると、不登校となったきっかけと考えられる状況をみると、いじめが3685人、いじめを除く友人関係をめぐる問題が23439人。これは不登校となったきっかけと考えられる状況のうち、実に20%を超えます。NPO法人やフリースクールなどが主催する、不登校のつどいのようなところでは、「子供が不登校を訴えたら、無理に行かせることはない」という対応をよく聞くが、これはこの側面から見ても、正解といえるかもしれないなぁ…と思います。誰にも言い出せず、誰も見いだせず、本人が耐えてしまったがゆえに、いじめがエスカレートする場合も多いからです。

いじめをなくそうという運動はとても大切なものです。ただ、私はいじめはなくならないとも思うんです。いじめの存在を責められることを恐れて「ない」または「これはいじめじゃない」と語るより、アンテナを高くはり、小さな事柄に対しても目を配るような体制を取りたいなぁ…と常日頃思っています。

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北星学園余市高等学校で教員をしています。
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