この15年。

昨日は学期ごとの教員の慰労会だった。北星余市では学期が終わるごとに各学年部会(担任・副担任)で慰労会を行う。ここでは今学期にあった嬉しかった出来事もつらかった出来事も、おいしい料理とともにみんなテーブルに上がる。あのとき、あーすればよかった。あの子は成長した。次の学期はどうするのか。といった生徒の話から、学校の運営に関わる話、プライベートな話まで何でもありの時間。そんな話をしながら、お互いの労をねぎらい「何はともあれお疲れさん、また来学期も頑張ろうね」という時間を過ごす。ここ数年、教員が減ったことで、各学年部会の人数が6人とか7人とかでちょっと寂しい。来年度からは学年関係なくみんなで飲めばいいのに。たかだか20名程度なんだし。

今回も余市のやす幸さんで開催。ちょっと遅れてお店に入ると、我々のグループとは別に、懐かしの面々がそろっていた。入ってすぐ、右手のテーブル席には、往年の退職された先生たちがずらりと並んでいた。どうやら退職教員の会というのがあって、忘年会というか先日無くなられた先生を偲ぶ会というか、そんな様相を呈している。懐かしの面々。在職当時は考え方や意見が合わず、半ばけんか腰に言い合いをしていた先生同士も、笑顔で集っている。お互い、生徒を思うが故のこと。目指すべきは子どもの成長と幸せだった…という空気が流れている、、、と若造は勝手に感じ取る。まるで、ウルトラマンファミリーがならんでいるかのよう。なんと圧巻だったことか。

と同時に、寂しさも感じた。あのテーブルには、総勢15人はいただろう。これだけの先生たちが私の在職している14年間に退職されている。この場にいない数名の退職や転勤をされた先生を考えると20名弱になる。一方、私よりあとに入って来た教員は4名。つまり、15名ほどのマンパワーがそがれてしまっているということだ。15名分の仕事が現在20名の教員にのしかかっている。もっというと、北星余市は、担任は生徒に向かい合うことのみに専念させるという体制を貫いており、分掌等の仕事は副担任ですべて担っているため、この15人分が10人の上にのしかかっているといってもいいかもしれない。

当時は北星余市の時間の流れは優雅だったな…ととても思う。ああいう、優雅な時間の流れは、教育の現場には本当に必要だと思う。担任を持っていないとはいえ、北星余市の教育は担任だけが子どもを見るのではなく、全教員が見ることが大切。生徒指導上、担任や担任団では見えないところ、担えないことも多く、それを副担任が担っている。教材準備に終われ、分掌等の事務作業、書類に追われている中では、子どもたちに向き合う時間は取れない。無理をしてとっても、心に余裕がないと、真っ正面から向き合えない。子どもたちは全力でぶつかって来る。教員が頭の片隅で事務作業のことを考え、片手間でやっていることなど見抜く。本当に良くない。言葉は悪いが、片手間で分掌の仕事をこなし、メインは子どもに向き合うこと、そういう風土がかつての北星余市にはあった。

子どもに向き合うためには、そういう余裕は間違いなく必要である。どうすればいいものか。

Profile

北星学園余市高等学校で教員をしています。
Instagram