即戦力をめぐる企業と大学の“共犯”関係 日経ビジネスオンライン


「キャリア教育を充実させようってところまでは良かったんです。今じゃ、完全に就職予備校。いや、下請けっていってもいいかもしれない。企業が求める人材を教育する場に大学がなってるんですよ。大学も生き残りをかけてるから、就職に強い大学にすることが使命になってきました」

「この先も新卒の雇用が増える気配はありません。その一方で、企業が学生に求める資質は急激に高まっている。で、その資質っていうのが即戦力だと。おかしな話です。学力が低いって散々言っていたと思ったら、今度は人間力を高めて即戦力になる人材が欲しいと。企業も勝手だし、それに右往左往している大学も大学ですよ」

こう嘆くのは知人の大学教授である。

経営危機におびえる大学と、厳選採用を豪語し、なぜか強気な企業サイド。

報道によれば、文部科学省が昨年11月に経済同友会などの企業側と大学側が参加する懇話会を設置した際にも、企業側から「大学教育の中で、即戦力となる人材を育ててほしい」との要望が出されていたという。

即戦力って何なのだ? 中途採用でもあるまいし、新人で即戦力などあり得るのだろうか?

そもそも、いったいいつから人材を育てるのが大学の役目になってしまったのか? これじゃ企業は、子供のしつけをすべて学校に委ねるモンスターペアレンツと同じじゃないか?

「やっと専門分野の学問を習得できる3年生になった途端、就職することしか考えず、学問をしようという熱意など全くない学生に、授業をするのは苦痛だ」

前出の教授の話では、こうこぼす同僚の先生も多いらしい。

というわけで、今回は、大学と企業の不条理な関係性について、考えてみようと思う。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110111/217888/?P=2

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北星学園余市高等学校で教員をしています。
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